「白夜行」東野圭吾

4087474399白夜行
東野 圭吾

集英社 2002-05
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絶妙のストーリーテリング。久しぶりに巻おくあたわざる面白さを体験した。友人諸氏の絶賛の声を信じて良かった。読者に、亮司と雪穂に同情させたら作者の勝ち…というのがあると思う。それも、かなりのレベルで達成されていると感じた。
ネットでも、あらためて見てまわった限りでは賛否の賛の意見の方が多いようで、ならば誉めるのはそちらにお任せするとして…、ぼくは気になった点をいくつか。
動機も含めて、作中に描かれる犯罪はほとんど、主人公二人に関わった人間たちの想像、あるいは推理のかたちで語られる(二人の行為は直接描写されず、また二人は犯罪に関して一切の告白をおこなっていない)。従って、それが真実なのかどうかは最後まで読者の判断にゆだねられる。それって、構成としては正解だとしても、物語としてはご都合主義的な印象を抱かせてしまう。ひとつひとつのエピソードの真実より、二人の人生の軌跡を描くことの方が重要なのは解るけど、ちょっと出来すぎの感は否めない。
それから、裏道を歩いている人間とお日様の下を歩いている人間の差なのかもしれない、亮司のリアリティに比べて雪穂のキャラクターが作り物めいて見えるのも欠点といえば欠点だろう。
もちろん、そうしたマイナス点があってさえ、この「白夜行」が年間ベスト級の傑作であることを認めるにやぶさかではないが。
最後にラストシーンについて。絶賛の声の中にも不満を抱いている向きが多いようで。デビュー作「放課後」のラストを思い返すと、これは東野圭吾という作家のスタイルなのかもしれないと、ぼくなどは思った次第。 (05/10/31読了)

評価 ☆☆☆☆